湷 / Zhuāng

あらすじ

あるとき、麒麟市の東の海に突然奇妙なものが現れた。巨大な、桃色がかった「芽」の集合体のような塊。音も無くそこに現れた塊は人々を驚かせ、ほどなくして市は「調査のため」急遽沿岸地域を封鎖した。

それ以来、封鎖が続くうちにたちまち「海の芽」は憶測や都市伝説の対象になっていった。近付くと宇宙人にさらわれるだとか、浮かんできた深海生物だとか、海辺に行くと恋が叶うだとか、

──死に別れた人に会えるだとか。

水沢栞梨(みずさわ・しおり)はそれまでのことを覚えていない。ただただ脳に焼き付いていたのは、冬の海に吹きすさぶ「春」。海に落ちるひとつの「芽」と、高く舞う花弁のなかに見た……化物だった。

「初めまして、24番」 知らない声でふと意識が蘇った。潮の匂い、波の音、照り返す光。海が視える。身を起こし、目を開けると……痛みが体を襲った。 うめきの中、一言だけが耳に届いた。

「めがさめたかな」


世界観・用語設定

東の海

▼ 海の芽

<aside> <img src="/icons/tulip_pink.svg" alt="/icons/tulip_pink.svg" width="40px" /> 麒麟市の東の海に現れた、ピンクがかった芽のようなものの集まった巨大な塊。特別巨大な芽が18個生えている。

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▼ 落とし子

<aside> <img src="/icons/fire_green.svg" alt="/icons/fire_green.svg" width="40px" /> おそらく海の芽から発生し、陸に向かってくる敵性存在。人知を超えた攻撃能力を持つ異形の怪物。普段は形の定まりきらない小さな個体が大量発生しているが、海の芽の表面に生えた大きな芽が落ちることでひときわ強力な個体が発生する。 この落とし子の強力な個体には稀に「発火」と呼ばれる現象が起き、破壊力が増す代わりに海水への脆弱性を示す。

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落とし子一覧

麒麟市

▲ シロガネ

<aside> <img src="/icons/cat_gray.svg" alt="/icons/cat_gray.svg" width="40px" /> 海の芽および落とし子から生じるなんらかに被曝することで異能を獲得した人間を、武装させ対「落とし子」戦力としたものの通称。銀色の獣。 共通する特徴として、よく鼻が利くなどの知覚能力の高まりが挙げられる。一定以上海水を浴びると身体が溶け落ちるように黒色化し、該当箇所の制御ができなくなる。いまだに謎が多く、戦闘中に海に消えたまま帰ってこなかった者もいる。 必然的に海辺で被曝した者がほとんどであるため、世間向けには海難事故等で行方がわからなくなったものとされており第四庁舎においても番号呼称で扱われる。

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▲ 第四庁舎

<aside> <img src="/icons/city_yellow.svg" alt="/icons/city_yellow.svg" width="40px" /> 麒麟市の対「海の芽」戦闘・研究機関の通称。シロガネたちの統率及び戦闘指示を行う。被曝を警戒し、基本的には特殊な防護服を着用してシロガネたちに接する。

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登場人物一覧


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